持分あり医療法人と持分なしの医療法人では、 交際費損金算入の限度額に、違いがある?

【交際費損金不算入の額】

(1)資本金額または出資金額が1億円以下(事業年度終了日)の法人

 損金不算入額は、次のいずれかの金額となります。

 ①交際費等の額のうち、飲食に要する費用の50%に相当する金額を

  超える部分の金額

 ②800万円(事業年度が12ヶ月ある場合)を超える部分の金額

 

(2)資本金額または出資金額が1億円超(事業年度終了日)の法人

 

 損金不算入額は、以下の金額となります。

 ①交際費等の額のうち、飲食に要する費用の50%に相当する金額を

  超える部分の金額

 

医療法人の場合は?

(持分ありの医療法人)

⇒出資金額が、1億円以下であれば、

(1)資本金額または出資金額が1億円以下(事業年度終了日)の法人に該当します。

※多くの持分ありの医療法人は、1億円以下と思われます。

(基金拠出型医療法人など、持分なしの医療法人)

持分なし医療法人は、出資金を有していません。

 そのため、交際費の損金不算入の計算は、法人税法で

 「出資の金額に準ずる額」というものが定められています。

 この金額を出資金の額とみなして判定します。

 

「出資の金額に準ずる額」

(期末時の総資産簿価-期末時の総負債簿価-当期利益(または+当期損失))×60%

 上記の計算で、

 ⇒1億円以下か? 1億円超か? を判定します。

例えば、基金拠出型医療法人で、法人設立時に基金1,000万円であったとしても毎年利益が蓄積していくと、

「出資の金額に準ずる額」が1億円超になる可能性があります。

⇒交際費の800万円を超える部分の金額が損金不算入の選択ができなくなり、法人税の負担が増えることが、考えられます。

毎年の資産及び負債の金額を注意しながら、計画的な経営をすることが必要になります。